中日は14日に行われた日本生命セ・パ交流戦のロッテ戦(ZOZOマリン)に延長10回の末、4―3で競り勝った。3―3の延長10回2死二塁で中田翔内野手(35)が右中間へ決勝の適時二塁打。最後を締めたライデル・マルティネス投手(27)は5年連続20セーブとなった。先発の涌井秀章投手(37)が通算500試合登板を達成。節目の記録で彩った白星をきっかけに残り2試合も連勝し、交流戦を勝率5割で終えたい。
全員を救った。周平を、清水を、そして自分自身を。同点の10回2死二塁。打席には中田。カウント2―2からロッテの4番手・坂本の直球を押っつけた。打球はライナーで右中間へ。二走の田中がホームへかえり、勝ち越した。
「気持ちでいったんですけど、ここ何週間は打てなくて結構キツかったんですけど、ファンの方の声援に支えられました」
歓喜の一打から2分45秒巻き戻す。この打席の初球。坂本の速球をフルスイングした。芯で捉えた飛球が左翼ポールへ向かったかと思いきや、すぐに切れた。一瞬どよめくスタジアム。竜党も一瞬歓声、のち、ため息。中田の心中も同じだった。「あの絶望感ね。打球が切れていく光景を見て、すぐにファウルだと思って目は切ったけど、ホンマがっくしというか、地面に膝つきそうだったわ」
打ったからこそイタズラっぽく言える心模様。11日にスタメン復帰してから3試合で計11打数2安打。自打球を当てた影響もあったとはいえ、6月は試合前の時点で打率1割1分5厘、0本塁打、1打点と大いに苦しんでいた。
「打てなくて悩むという経験はしてきているけど、自分の打撃がいまいち分からなくなるというのは(プロでの)17年間で初めての経験だった」。チャンスをつぶしては球場のため息を一身に受けてきた。ギリギリだったからこそ、二塁ベースに到達した中田は右手を左手にたたきつけ、ほえた。
指揮官が「あれだけミスしたらやられるんですけどね」と素直に振り返ったゲーム。1点リードの7回は高橋周の失策に始まり、清水の3暴投で追いつかれ、通算500試合登板だった涌井の白星ははかなく消えた。
中田翔、プロ17年目で初の経験「自分の打撃が分からなくなった」

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◇14日 ロッテ3―4中日(ZOZOマリン)=延長10回