59・5%。これは、この日DeNA先発のアンドレ・ジャクソンが投じた84球の直球比率だ。今季7試合で最も多い比率となった。(TSUBASA調べ)
最速156キロをマークし2勝目を手にした助っ人は、6回まで腕を振り直球を投げ続けた…、いや正確に言うと「投げさせた」だ。立役者は初コンビを組んだ戸柱恭孝捕手。
100%。これはジャクソンが初回に投じた9球の直球比率。ヤクルト打線を先頭の丸山和から武岡、オスナと、2者連続空振り三振、遊飛に仕留めた。全て150キロ台の伸びのある球だった。
その「直球ショー」は2回、4番・村上に5球目を右前打されても、次打者サンタナの初球まで15球続いた。記者はこのリードが痛快だった。
ジャクソンは、6日ヤクルト戦で5回6四球の制球難。2軍に降格した。だが17日のイースタン・リーグ、ロッテ戦に先発し5回を投げ、中4日で神宮のマウンドに立った。
四球グセは修正できているのか?しかも中4日。その注目点に対し、手綱を握り6回1四球の「回答」を出した34歳のベテランマスクマンに頭が下がる。
試合後、戸柱に聞くと「(ジャクソンは)いろいろ球種を投げられる分、今までは球を投げ分けてしまっていた。今日は“弾かれるまで(打たれるまで)直球で行こう”と話していて、それを1巡目からできた」と汗をぬぐった。そして「バッター主導と言うより、ジャクソン主導。彼の特性を生かそうと思った」と続けた。
つまり、チェンジアップなど変化球の評価が高かった右腕をベンチで見続けた戸柱が、本来武器とすべき「直球」の良さを引き出し、結果へ導いたということ。球種を投げ分けることにこだわらなかった。
試合中のベンチでは「(ジャクソンに対し)良いスイングをしているんだからヒットを打てよ」などのジョークも飛ばし、コミュニケーションをとり続けたという。
山本祐大捕手の台頭で出場機会は減った。とはいえ9年目のベテランは、その経験値がシーズンを戦う上でDeNAに欠かせないことをこの一戦で証明した。
暴れ馬を手なづけ快投に導いた戸柱の手腕、「男気」リードは「勝ち捕手・戸柱」に十分値するものだった。